季節ごとの日常管理や常備している薬を簡単にご紹介します
飼育しているらんちゅうの日頃の管理や常備している薬などを書き出してみました。
◆春の管理◆
冬の間水底でじっと冬眠していたらんちゅう達も徐々に水温が上がってくると泳ぎ始めます。その頃を見計らって1回目の水換えをします。少し早めに産卵させたい親は2月のうちにヒーターを入れて徐々に水温を上げ、オスメスを分けて飼育します。1回目の水換えは水を替えるというより舟を掃除するつもりで、あまり魚を刺激しないように半分以上古水を使って舟の底にたまったごみを出す程度にします。1回目の水換えをしたら少しずつエサをあげ始めます。冬の間、舟の壁面のコケなどを少しは食べていたのでしょうが内臓、消化器官の働きが低下していると思いますので、消化のよいエサを「ほんの一口」程度からはじめます。この時期は餌の量も水換えの時の新水の量もあせらずに徐々に増やす気持ちでやっています。特に種親にはあまりたくさんえさを与えて脂肪が付き過ぎるとメスが産卵しなくなったりするので控えめにしています。種親の成熟の度合いに合わせて産卵用の舟や、産卵巣、稚魚のエサとなるブラインシュリンプの卵、その孵化容器などを用意します。産卵が終わり稚魚が孵化すると稚魚の水換えや選別に時間がかかりどうしても親の管理が手抜きになりがちなので注意しています。
◆梅雨時の管理◆
この時期は、天候が不安定で水温その他の環境の変化が大きいため、人間と同じくらんちゅう達も体調を崩しやすい時期です。無理に大きくしようと考えずに体調第一の管理を心がけています。水換えもあまり激しくしないで古水を半分くらい使うようにしています。水換えの間隔は飼育密度によって違うので水の状態を見て臨機応変に決めています。エサは成魚には冷凍赤虫をメインに水温20℃を目安にそれよりも低ければ胚芽入りなどの消化の良い餌、高ければ高蛋白、高脂肪の人工飼料を与えています。エサの与えすぎによる消化不良に気をつけています。この春生まれた当歳魚の舟は産卵の時からヒーターを入れてあるので20℃程度にセットして悪天候でも急激に水温が低下しないようにしています。そして成長に合わせてブラインシュリンプから徐々に冷凍ミジンコ、粉末の人工飼料、冷凍赤虫などに慣らしてエサを切り替えていきます。
◆夏の管理◆
らんちゅうの一番の成長期。高水温が続きますが、かえってらんちゅう達は安定しています。この頃には当歳魚も冷凍赤虫を食べられるようになるので、当歳、成魚とも赤虫メインでらんちゅうの状態に注意しながら高蛋白の人工飼料もたっぷり与えます。日も長く夜になっても冷え込むようなことがないので夕方比較的遅くまで餌を与えますが、暗くなる2時間前を目安に餌やりを終了するようにしています。水換えも高水温期は古水を少なく新水を多くして間隔も短めで換える様にしています。日除け等も活用して水温の上昇にも気を配ります。
◆秋の管理◆
水温が高いときは夏と同じような管理ですが、水温が少しずつ下がるにつれて、らんちゅうたちの活動も少しずつ鈍くなってゆきますので、それにあわせて餌の量を徐々に減らし、20℃位を目安に高蛋白、高脂肪の餌から消化の良い餌に切り替えています。水換えも徐々に古水の割合を増やし、回数も減らしてゆきます。春とは逆に徐々にスローペースにしてゆきます。秋も深まるにつれ成長させることよりもいかに体調良く冬越しに持ってゆくかを念頭において管理しています。
◆冬の管理◆
水温が下がりらんちゅうの動きが鈍くなってきたら冬囲いをします。といっても舟の側面と底面は常に発泡スチロールが張ってあるので、上にビニールの波板やシートをかぶせる程度です。後はたまに蒸発した分の新しい水を足すだけで春まで何もしません。室内の舟だけは少し加温してあるので餌を与えたり、水を替えたりします。冬囲いをする時に調子の悪いらんちゅうは程度にもよりますが室内の舟に移して様子を見ます。
以下に常備している薬をご紹介します。塩以外はあまり使わないようにしていますがいざという時のために用意しています。
《塩》
らんちゅうがちょっと調子を崩した時には一番の薬かもしれません。らんちゅうの調子がおかしいときには0.5%位の塩水にして餌を切り、水温を上げます。病気の種類にもよりますが、通常飼育していて罹るえら病などで特に新しい魚を入れたりして細菌を持ち込んだ可能性のある場合以外はこの方法で対処しています。
《エルバージュ》
成分:ニフルスチレン酸ナトリウム
効果:エロモナス感染症(穴あき病、立鱗病、スレ)カラムナリス病(鰓腐れ、尾腐れ、口腐れ)
※この薬は光によって分解してしまうので夕方日がかげってから投薬します。
《ニューグリーンF》
成分:メチレンブルー
塩酸クロルヘキシジン
アクリノール
塩化ナトリウム
効果:白点病、尾ぐされ病、水カビ病、外傷及び細菌性感染症
《オキシドール》
成分:過酸化水素
効果:殺菌、消毒
※傷口の消毒用として薬局で売っているもの。えら病の時などに魚体に付着した細菌の殺菌、消毒を目的に1㍑の水にオキシドールを1ml入れ30分~1時間位薬浴しています。また、病魚に使った網などは少し濃い溶液に漬けて消毒しています。
《マゾテン》
成分:トリクロルホン
効果:イカリムシ、うおじらみ等寄生虫の駆除